ジュビダームビスタ®ボリューマXCのご紹介

ヒアルロン酸注入と言えば今やしわやくぼみ治療の定番ですが、元々はコラーゲン製剤のライバルとしてしわの治療からスタートしました。当初はヒアルロン酸製剤の種類も少なく、コラーゲン製剤と比べると硬かったため、今一使いにくいフィラーでした。その後様々な硬さのヒアルロン酸製剤が開発されるに至り、しわ、小じわの修正だけでなくくぼみの修正にも積極的に用いられるようになりました。現在では失われたボリュームを補う目的でも大変多く使用され、むしろ今現在ではヒアルロン酸注入の真骨頂はボリュームロスの改善にあると言っても過言ではありません。

そしてこの度、アラガン・ジャパン社のヒアルロン酸使用軟組織注入材「ジュビダームビスタ® ボリューマ XC」(以下ボリューマ)が、成人における中顔面、下顎部、こめかみの減少したボリュームを増大することを使用目的として、2016年9月9日に厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年12月に発売されました。

ジュビダームビスタ ボリューマ

ボリューマは日本で遅ればせながらようやく発売の運びとなりましたが、世界では米国、欧州、オーストラリアなど97カ国において既に承認され使用されています。また、アメリカでは最も多く使用されているヒアルロン酸使用軟組織注入材となっています。これはつまりヒアルロン酸製剤として非常に優秀な性質を持っていることの表われだと言えます。

アラガン・ジャパン社のヒアルロン酸使用軟組織注入材といえばこれまでにも「ジュビダームビスタ® ウルトラ」以下ウルトラ)、「ジュビダームビスタ® ウルトラプラス」(以下ウルトラプラス)などが販売されていますが、これらはHYLACROSS(ハイラクロス)という技術を用いて作られています。一方、今回発売されたボリューマはVYCROSS(バイクロス)という技術で作られています。VYCROSSはどのような技術かというと、分子量の異なる高分子のヒアルロン酸と低分子のヒアルロン酸をミックスして架橋する技術のことのようです。これにより高効率で架橋され、ヒアルロン酸の網目構造がより緊密になり、密度の高いヒアルロン酸製剤となります。その結果、適切なリフト力が得られるのに加えて、注入後の分解吸収を遅らせて長期持続性が得られ、さらには水分を吸収しにくくなり注入後のゲルの膨潤が低減するという良い性質があります。

ボリューマの用途ですが、ウルトラやウルトラプラスが顔のしわや溝の修正を主な目的としているのに対して、ボリューマは頬、顎、こめかみなどのへこみ、くぼみといったボリューム減少の改善を目的としています。

では、ボリューマの特徴と順を追って解説していきましょう。

ジュビダームビスタ ボリューマの特徴

(1)長期持続性
ボリューマは、異なる分子量のヒアルロン酸を強固に結合する技術(VYCROSS)により、注入後の分解吸収が緩徐に進みます。そのため、これまでの他のヒアルロン酸よりも効果の持続期間が長いという利点があります。ここにアラガン・ジャパンより提供されているデータがあります。それによりますと、MFVDSスコアが24ヶ月(2年)後においても1点以上改善した患者の割合は67.1%であったとのことです(医師による評価)。MFVDS(Mid-Face Volume Deficit Scale)スコアというのは中顔面のボリューム減少の度合いを評価した値で、点数が高いほどボリューム減少が少ないことを意味します。また、患者さん自身の評価として、施術後24ヶ月時点で75.8%の患者が満足度スコアがベースラインより改善したとのことです。つまり、医師評価、患者評価ともに24ヶ月たった時点でも約7割の患者において症状の改善が持続していたということになります。
処置後9ヶ月から24ヶ月までの延長フォロウアップにおける平均MFVDSスコア

(2)低吸水性
ボリューマは、VYCROSS技術によりウルトラやウルトラプラスに比べて強固に架橋されており、ヒアルロン酸ネットワークがより緊密な網目構造となっています。そのため水分を取り込みにくく膨潤しにくくなっています。ヒアルロン酸はどの製剤であれ、注入した後に水分を取り込みいくらかふくらみます。そのため、適量注入したと思ったところその後に思ったよりふくらみ過ぎてしまったということが起こり得ます。ボリューマは低吸水性のため、施術後のふくらみが少なく、注入時のイメージに沿った仕上がりとなりやすいわけです。
吸水によるゲルの膨潤度

(3)優れたゲルのリフト力・成型性
ボリューマは適度な弾性と凝集性のバランスが大変優れています。適度な弾性のため、外から力が加わっても平坦化しにくく、組織を盛り上げた状態を維持します。また、適度な凝集性のため、ヒアルロン酸ゲルが分離しにくい性質を持っています。つまり、注入後の変形が起こりにくいということです。
ラットに注入した充填材のリフト力

(4)組織親和性
ヒアルロン酸ゲルがより組織に馴染みやすいという結果が得られています。馴染みやすいということはそれだけ自然な仕上がりが期待できるということにもなります。
組織親和性

(5)適度な滑らかさ
ボリューマだけでなく他のジュビダームビスタシリーズにも共通して言えることですが、ヒアルロン酸ゲルが非常に滑らかで、30Gの針を使用したときにもスムーズに注入できます。当たり前のことですが、適量を適所に注入できなければ仕上がりも良いわけがありません。実はこの重要な点が忘れ去られがちで、ゲルが硬くなれば針の細い穴を通して押し出しにくくなるのが普通なのですが、そうはならないところがジュビダームビスタシリーズの良いところです。
各充填材の押し出し力

以上、ボリューマの優れた特性について説明してきましたが、欠点を挙げるとすると価格が高いところ。当院で多く使用しているヒアルロン酸の約2倍の料金となってしまいます。ただし、効果の持続期間が約2年と2倍であることや、その優れたリフト力や成型性なども考慮すれば、本当は決して割高ではありません。事実、ボリューマはアメリカで消費されているヒアルロン酸製剤のうちでシェアトップの位置を占めます。そういった点も踏まえて総合的に考えると、額やコメカミ、中顔面(頬)のボリュームアップなどで今後かなり需要が増えていくものと思われます。