目尻のボトックス注射

目尻のボトックス注射はどんな治療?

目尻には笑った時に外眼角から放射状に寄るしわができます。このしわはその形状から俗にカラスの足跡(crow's feet)と呼ばれています。笑った時にできるしわなので好ましいしわとも言えますが、年齢とともにまぶたの皮膚がゆるんでくるとこのしわが深く目立つようになりなります。そうなると年齢を感じさせるため、このしわが深くならないようにすることは若々しい印象を保つことになります。目尻のしわは、笑った時に眼輪筋(がんりんきん)の外側部が収縮することでできます。そのため、この部位にボトックス注射を行うことでこの筋肉の緊張が緩和され、目尻のしわを改善することができます。
目尻のしわ

眼輪筋について

眼輪筋は上まぶた、下まぶたの周囲を輪状に走っている表情筋です。この筋肉の主な役割は閉瞼(まぶたを閉じること)です。笑った時にはこの眼輪筋の外側部(目尻側)が収縮して、外眼角を中心に放射状のしわが寄ります。

治療を開始するタイミングは?

他のしわ同様に深くなる前に治療を開始しましょう。笑った時のしわが以前に比べると深い、あるいは皮膚がよれたように感じ始めたら治療を開始するサインです。もちろんある程度深くなっても治療を行うことができますが、その場合はヒアルロン酸注射などを組み合わせて、平常時(笑っていないとき)のしわも埋めてあげた方が良いでしょう。

目尻のボトックス注射のキモは?

目尻のボトックス注射で気を付けることは、ほどほどにボトックスを効かせることです。日常生活上、微笑んだり笑ったりすることは普通のことであり好ましい表情でもあります。ですので、しわが全くない状態を理想として治療を行うと、かなり強く眼輪筋外側に効かせることになります。そうなると、笑いにくかったり、顔が引きつったように感じることがあります。また、目尻のしわのうち下方、頬に近い部分にできるしわは、眼輪筋以外にも、大頬骨筋や小頬骨筋といった頬を拳上させる筋肉によってもできています。ですので、眼輪筋だけの注射では抑制しきれないしわもあります。それを理解した上で施術を行えば、きっと満足度の高い治療となるでしょう。

どのように眼瞼下垂や皮下出血を避けるか?

眼窩内には上眼瞼挙筋というまぶたを拳上する筋肉があります。この筋肉にボトックスが効いてしまうと眼瞼下垂といって、まぶたの開きが悪い状態になります。このような事態を避けるために、一般的に眼窩骨の縁から1cm以上離した外側に注射を行います。通常はこれで問題はないでしょう。ただし、より年齢が高くなり、しわもかなり内側の上眼瞼にまで入ってくるようになると、眼窩骨縁の近くに注射をした方がよりしわが改善される例も見られます。このような場合は、皮膚を引っ張って眼窩骨より離した上で、マイクロボトックスの要領で皮内に少量の注射を行い、眼瞼挙筋に薬が拡散するのを防ぎます。

また、目尻は皮膚が薄く皮下組織もゆるいので、皮下出血が生じると思った以上に広がりやすく目立ちやすい傾向にあります。そのため、極力皮下出血を避けるための手段として、intra-dermal(皮内)に注射を行う方法が良いと考えています。皮下出血の多くは皮膚のすぐ下に走っている血管網、あるいは血管が豊富な筋肉を穿刺することで起こりますので、穿刺を皮内のやや深めに留めておけば皮下出血のリスクはかなり減ります。さらに、この部位は皮膚が薄いので皮内(のやや深め)に注射しても筋肉に薬が拡散し充分にボトックスが効くと考えています。

施術方法

では実際の眉間のボトックス注射というのはどのように行うのでしょうか?アラガンジャパン社によるボトックスビスタの添付文書によると、下記の挿絵があります。
目尻ボトックスの注射方法
目尻のしわが外眼角の上下でできるか、下のみにできるかで注射方法を分けています(左が前者、右が後者)。いずれも片側3か所となっています。この添付文書は、誰が行っても同じようにできるようにという趣旨のもとに作成されたものなのでこれはこれで間違いではないと思います。ただし、目尻のしわの寄り方は個々の差が大きいし、どの程度しわを抑制したいかの希望も異なるので、ベストな効果を出そうと思えば、もっと個々の症例によって柔軟に変えていくべきでしょう。施術者の好みにより絶対にこれが正解という注射方法はありませんが、現在のところ私の目尻のボトックス注射は以下のように行っています。

  1. (1)ボトックスの量は両側で4~20単位くらい。

  2. (2)ニコっと笑ってもらいしわの寄る部分をチェックし、片側につき4~6ポイントをマーキング。この際には一般的には眼窩骨より1cmもしくは外眼角より1.5cm離す。しわの寄り具合によっては眼窩骨の縁の近くにポイントを置き、充分に注意した上で注射を行う。

  3. (3)目尻の皮膚は薄いので、intra-dermal(皮内)に注射を行ってもボトックスは充分に眼輪筋に効く。また、intra-muscle(筋肉内)に注射すると皮下出血を作りやすいし、目立ちやすいので、intra-dermalに注射を行うのが良いと考える。

  4. (4)外眼角下方、頬に近い部分のしわが気になるという方がいるので、このしわは大頬骨筋、小頬骨筋によって頬が拳上されてできるしわであるから頬が挙がらないようにしないと完全には抑制することができないことを説明した上で、希望があればさらに下方の追加注射を行う。

以上、目尻のボトックス注射について理解が深まりましたでしょうか?とても良い治療なので興味のある方はぜひご相談ください。