当院で採用しているヒアルロン酸のラインナップ

一口にヒアルロン酸注射と言っても、現在利用できる顔面注入用ヒアルロン酸製剤の種類は優に100を超えます。その中で、製造している製薬会社が大手であり信用度が高く、日本でも多くのクリニックが採用しているものとなると20~30種類くらいかと思います。どのヒアルロン酸を採用するかは、その製剤の特徴や医師の好みなど総合的に勘案して各クリニックが独自に決めています。

私がヒアルロン酸注射を行い始めてから15年経ちますが、最近特に実感することは、施注を行う医師はまさにアーティストだということ。どのような種類をどの深さにどれくらい注入するか、これは極めてプロフェッショナルな仕事かつアートです。兼ねてから職人気質を持ってヒアルロン酸注射を行ってきましたが、芸術家としての気構えも必要であることを強く実感します。

さて、少々大袈裟な物言いになりましたが、例えば職人と言うとどのような道具を使用するでしょうか?細かな用途に合わせて様々な道具を用いますね?芸術家はどうでしょう?彫刻家であれば用途に合わせた数多くの彫刻刀、画家であれば数多くの筆や絵の具を用いて芸術表現を行います。これらのこととヒアルロン酸注射も何ら変わりません。滑らかな表面や細かいニュアンスを表現しようと思えば、使う道具は多種類必要です。画家にとっての筆は我々にとっての注入針であり、絵の具はヒアルロン酸です。当然「絵の具の種類=ヒアルロン酸の種類」は数多いほどアーティストとしての表現力は高まります。

そのような理由で、ヒアルロン酸注射による表現力を高めるため、取り寄せるヒアルロン酸の種類も年々増えてきました。2016年5月現在、当院で常時用意しているヒアルロン酸は9種類になります。それぞれ、私なりに考えがあって使い分けているのですが、ここで当院が採用しているヒアルロン酸製剤のラインナップをご紹介したいと思います。

ヒアルロン酸のブランド

まず、ヒアルロン酸ブランドですが、ジュビダームビスタスタイレージベロテロクレヴィエルを使用しています。この中でも一番中核となるのが、ジュビダームビスタシリーズです。
ジュビダームビスタシリーズ
顔面のしわや溝を修正するためのヒアルロン酸製剤として日本の厚生労働省の製造販売承認を取得しており、国のお墨付きがある製剤になります。そのため、当院においてもジュビダームビスタシリーズを一番多く使用しております。ただ、ジュビダームビスタシリーズだけではどうしても役不足になり表現できないものがあるのも事実です。

ヒアルロン酸濃度の違いで計7種類を用意

ヒアルロン酸製剤の柔らかさ、硬さというのは、ヒアルロン酸の濃度や架橋度、ヒアルロン酸ゲルの構成の仕方といった複数の要因が絡んで決まるのですが、ここでは単純化してヒアルロン酸の濃度で大まかな硬さというのが決まってくると考えましょう。顔面の細かなニュアンスを表現するために、ヒアルロン酸濃度の違いによりグラデーションが構成できるラインナップとして以下の7種類を選択しています。ヒアルロン酸濃度の薄いものから順に

スタイレージのみ単位がmg/gで他はmg/mlですが、ヒアルロン酸製剤のほとんどは水であり、ヒアルロン酸分子の占める割合はわずかですので、mg/g≒mg/mlとみなしましょう。ジュビダームビスタ・ウルトラとウルトラプラスはヒアルロン酸濃度に違いがありませんが、架橋度が違うため、硬さは違います。このようにヒアルロン酸濃度の違いにより、注入する部位や深さを細かくコントロールすることにより、顔面の滑らかな表面を表現することが可能になります。

特別な用途のために計2種類を用意

ベロテロソフト
ベロテロソフト 架橋されているヒアルロン酸の中でも極めて柔らかく肌なじみの良い製剤です。皮膚の極めて薄い目周りの細かいしわの修正に使用します。このヒアルロン酸だけは他のもので代替できない特別な性質があるため、ヒアルロン酸採用リストに入れています。

スタイレージ・スペシャルリップス
スタイレージスペシャルリップス 口唇のボリュームアップ専用のヒアルロン酸です。口唇をふっくらさせたいときに、あくまで柔らかい感じを保ちつつふっくらさせたいときに持って来いの存在感です。しかももちが良いので、口唇のボリューマイジングには何かと活躍するヒアルロン酸です。

以上、当院では9種類のヒアルロン酸をご用意しております。もちろん、ここまで多種類を用意しなくても良いと思われるかもしれません。実際にほとんどのクリニックでは、たいてい2~3種類、多くて4種類というところだと思いますが、ヒアルロン酸の種類が少なくて困ることはあっても多くて困ることはないのです。多彩な表現力を得ようと思えば、ヒアルロン酸の種類は多い方が良いと思います。ただ、意味なく多種類置いたところでメリットはないので、どのような理由づけで揃えるか、どういう表現をしたいのかという点からヒアルロン酸製剤を選択する必要があります。

また、最近ではヒアルロン酸以外のフィラーとしてベビーコラーゲンも使用頻度が増えてきました。ベビーコラーゲンはヒアルロン酸の最大の欠点「無色透明」を補ってくれる素材です。無色透明なものが皮膚の薄い眼瞼の皮下の浅いところに入ると、皮膚の表面が青黒く見えることがちょくちょく見られます。これをチンダル現象と言いますが、これを避けたいときにベビーコラーゲンは活躍してくれます。ですので、ヒアルロン酸で9種類、他のフィラーも併せると10種類を常に用意して、細やかな表現力をつけるべく日々努力しています。