全く同じ?天然のヒアルロン酸と皮膚充填材ヒアルロン酸との違いについて

最もよく使われるフィラー(皮膚充填材)であるヒアルロン酸ですが、体に入れるものなので当然のことながら皮膚充填材には最大限の安全性が求められます。「ヒアルロン酸は人体にも存在する物質なので安全です」と説明されているのをよく目にすることが多いと思います。これはもちろん嘘ではありませんが、この表現が100%正しいというのも間違いです。

100%正しいわけではないというのは、人体に存在するヒアルロン酸とフィラーのヒアルロン酸製剤は全く同じではないからです。

人体に存在するヒアルロン酸とフィラー用ヒアルロン酸製剤の違いについて

実際にヒアルロン酸は人体に多量に存在し、水分と弾力性の保持に大きな役割を果たしています。ではもし人体にあるヒアルロン酸と全く同じヒアルロン酸を注射したとするとどうなるでしょうか?実はあっという間に分解されてしまうのです。体内のヒアルロン酸は常に生成と分解を大量に行っている結果一定量が保たれており、仮に外部から何ccかを注入したとしても誤差のレベルであってすぐなくなってしまいます。そのため、そうならないようにフィラー用ヒアルロン酸は、ある程度の期間分解されずに残るようにヒアルロン酸の構造を変えています。

ヒアルロン酸は化学的にはN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が交互に重合した構造をしています。例えると細長い一本のひもみたいな状態です。この状態だと体内に存在するヒアルロン酸と同じですが、フィラー用ヒアルロン酸は架橋剤を用いて化学的に架橋されています。これは例えると、ヒアルロン酸のひもとひも同士を何箇所かでつなぎ合せた状態ということです。そして架橋されることで人体内である程度の持続性を持つようになっています。また、フィラー用ヒアルロン酸は各メーカーから様々なものが出ていますが、メーカーごとにその架橋の仕方などが違います。なので、フィラー用のヒアルロン酸と言ってもやはりそこは同一ではなく種類による違いがあります。

ヒアルロン酸製剤は架橋剤を使って架橋しているために、実際に人体内にあるヒアルロン酸と全く同じではありません。そのため極めて稀ですがアレルギー反応を起こす人がいます。このアレルギー反応は架橋剤に対して生じたアレルギー反応であろうと考えられています。つまりこの点において完璧に安全とまでは言い切れないのです。

以上、「ヒアルロン酸は人体にも存在する物質なので安全です」が100%正しいわけではないことがおわかりいただけたと思います。ただし、完璧に安全なものというのは世の中にそんなにないわけで、実際使用する上ではヒアルロン酸製剤の安全性は十分に高いものです。異物を入れるのは不安という方もたまにおられますが、要はどのようなものかをしっかり見極めた上で使用するかしないかを決定することが大切だと思います。