アレルギー ~ヒアルロン酸注射の副作用(1)~

ヒアルロン酸注射によるしわ取りやくぼみ、へこみの修正、リフトアップは現在広く行われており、安全性はかなり高いものです。しかし、副作用が全くないかというとそうではありません。今回はヒアルロン酸注射の副作用の1つであるアレルギーについて解説します。

「ヒアルロン酸は元々体内に存在する物質なのでアレルギーの心配はない。」これは一般的に良く言われていることです。ヒアルロン酸は、人体の皮膚、皮下組織、関節液、血管などあらゆる結合組織に存在します。人体を構成する成分に対してアレルギーを持っている可能性は極めて低いのですが、絶対にないとは言えません。例えば、自己免疫性疾患というものがありますが、これは体を構成する何らかの物質に対する抗体ができてしまう疾患です。ですので、ヒアルロン酸に対する免疫反応が絶対に起こらないとは言えませんが、仮にそのようなことがあり得るとしても、あまりにも極めて稀なことと言えます。ですので、確かにヒアルロン酸そのもの自体に対するアレルギーの心配はまずないと言えます。

しかし、どのような薬剤であれ、100%その物質だけがピュアに含まれているということはなく、実際には製造過程から混入してしまう微量物質や製剤を安定化させるための添加物などが必ず含まれています。このようにヒアルロン酸以外の微量に含まれる物質も含めてお顔や体に注射しているわけで、それらに対するアレルギーが起こり得ることになります。

人体に注射するヒアルロン酸製剤は、乳酸菌の一種であるStreptococcus zooepidemicusを利用した微生物発酵法により製造されます。そのため、ヒアルロン酸を製造する過程で、細菌や培地などに由来する物質が混入します。これらの混入物質を除去して精製するわけですが、どのくらい精製されているのかは、ブラックボックスです。恐らくヒアルロン酸製剤のメーカーによる差がかなりあると思われます。

また、ヒアルロン酸製剤は人間の体内にあるヒアルロン酸と全く同じわけではありません。体内では日々大量のヒアルロン酸が産生と分解を繰り返しています。そのバランスの上に体内のヒアルロン酸は成り立っています。そこに体内にあるヒアルロン酸と全く同じものを注射してもあっという間に分解吸収されてしまいます。そのため、ヒアルロン酸製剤の多くは、体内で安定化させるために、架橋という化学的修飾を行っています。この架橋を行うためには架橋剤が必要で、架橋剤に対するアレルギーの可能性もあります。

ヒアルロン酸製剤というのはだいたい価格の相場が決まっていますが、他と比べると特別に安い製剤というのもあります。なぜ安いかといえば、製造過程で混入する不純物の除去水準が低い、あるいは架橋剤が粗悪であるといった理由が考えられます。実際に多くの医師の意見として、安いヒアルロン酸だとアレルギーを起こしやすいという説があります。精製のコストはいわば安全性のコストですが、消費者にはっきりと目に見える部分ではないので、製造者の倫理観に依存する部分です。何事も安いものには理由があるということでしょうか。

当院ではこれまでに極めて膨大な数のヒアルロン酸注射の施術を行っていますが、これまでにアレルギーの経験はありません。しかしながら、結構な頻度でアレルギーの生じる製剤もあると主張する医師もいます。ですので、質が良く安全性の高いヒアルロン酸製剤を選択することは本来とても重要なことです。ヒアルロン酸注射を受けている方は、ちゃんとご自身に使われたヒアルロン酸が何かを把握していますでしょうか?当院では、治療に何の種類のヒアルロン酸製剤を使ったかは、患者様に明確にわかるようにしています。

もし事前にアレルギーかどうかを検査したいという場合、前腕等の皮膚に極少量注射して、しばらく様子を見るという手段を講じることもできます。ただ、アレルギー反応には即時型と遅延型があるため、検査はその日では終わりません。遅延型アレルギーの反応の有無をチェックするには1週間後くらいに来院してもらう必要があります。また、使うヒアルロン酸は1種類とは限らないため、使用するヒアルロン酸の種類の数だけ、(少なくとも会社が異なるものについては)検査を行わなければなりません。そう考えると、極めて稀な現象のためにそこまでするのはあまり現実的ではありません。

ちなみに、アレルギー反応が起こると、ヒアルロン酸を注射した部位の発赤や腫脹が見られます。注射直後の多少の発赤や腫脹は通常の経過で見られることがありますが、それが引かずに悪化するなどした場合はアレルギーの可能性があります。万が一、このようなことが起こってしまった場合、どのようにしたら良いでしょうか?最も大切なことは抗原の除去です。ですので、ヒアルロン酸分解注射を行って、抗原がそこに留まらないようにします。さらに抗原が人間の持つ除去作用により分解されればアレルギー反応は収まっていくでしょう。