それって本当にいいの?~ヒアルロン酸製剤の長期保存~

施術後にヒアルロン酸が余った場合、そのヒアルロン酸を長期間保存してくれる施設があります。保存期間は半年のこともあれば1年のこともあります。施設によっては、余ったヒアルロン酸を持ち帰らせて各自で保管させるとこともあります。再度注射したくなったら、それを持ってこさせて使用するというものです。

あるいは0.1cc単位で使った分だけヒアルロン酸を販売し、残りは他の人への施注に使うところもよく見かけます。こういったことは一見親切なようですが、皆さんはそれってどう思っていますか?

ちなみに当院ではヒアルロン酸の長期保管はしておりません。当院の場合、1回の施注でヒアルロン酸が余った場合、その2~4週間後にタッチアップを行っています。タッチアップを行うことでより良い仕上がりになりますが、この時点でほとんどの場合ヒアルロン酸は残りません。仮に残るようであれば他に注入できる部位などに使用します。タッチアップを行うことで仕上がりに過不足が生じにくくなり、さらに気付かなかった他の部位も改善し、満足度の高い治療を行うことができます。

本当は問題があるヒアルロン酸の長期保存

タッチアップを行うために、その分のヒアルロン酸は院内にて取り置いておきますが、保存期間は約1か月を限度としております。他のところでは長期間保管してくれるのに、冷たいのではないかと思うかもしれませんが、確固たる考えがあってそうしています。その最たる理由は、ヒアルロン酸の汚染・変性です。

汚染のリスク

ヒアルロン酸は粘性の高い素材です。これを注入するときはシリンジを押していきますが、注入をストップするためシリンジを押さえている指をはずすと、少量のヒアルロン酸がシリンジ内に逆流することが観察できます。ということは針の先端から血液や体液がシリンジ内に逆流する可能性があります。血液が混入してしまうと細菌が繁殖しやすくなり、注入物として危険です。ましてや他人の使用したものであれば針先を換えたとしても肝炎ウイルスなどの感染のリスクがあります。

変性のリスク

また、シリンジの先端をキャップでふさいでいたとしても、長期保管の後にはヒアルロン酸が硬くなっていることがあります。これは水分が蒸発したためではないかと考えられますが、元の状態と比べれば変性しているということです。変性したヒアルロン酸を体の中に入れようと思いますか?硬さはヒアルロン酸の重要な要素であり、それが変わっているならば最早使うべきではありません。体に入れるものは極力安全でなければならないはずです。

使用期限確認していますか?

また、ヒアルロン酸には使用期限というものがあります。仮に開封時に使用期限内であっても1年後に再度使うときには使用期限が切れていることだって考えられます。長期保管してくれるところは、そんな管理とか本当にきちんとやっているのか疑問です。当院の場合は、ヒアルロン酸を使用する際にその製品の使用期限を患者様自身に確認してもらい、使用期限内のものであることを明示しております。ですので、使用期限切れているものを使用するなんてことは、絶対に、絶~対にありません。ですが、そもそもそのように使用するヒアルロン酸を明示してくれるところもあまりないのが現状だと思います。ですから、知らないだけで長期保管したら使用期限とっくに越えちゃっているケース、すごく多いと思います。気をつけてくださいね。

以上のような理由で当院では1ヶ月を超えるヒアルロン酸の長期保存はしておりません。先ほども述べたように、タッチアップまで行えばヒアルロン酸が余るケースはあまりありません。当院で使用しているヒアルロン酸製剤はシリンジ1本あたり0.8ccのものと1ccのものがありますが、控えめな注入であっても2回でこれくらいの量は使い切ってしまうことがほとんどですし、仮に余りそうなら他の気になるところに注入すればなくなってしまいます。そのため、長期保管する理由が見つかりません。