実は奥が深い! ヒアルロン酸の注入テクニック

ヒアルロン酸注入は簡便で効果も高く、しわの治療からくぼみの修正まで幅広く使用されます。手術と比べれば、治療に対する心理的ハードルは比べ物にならないくらい低く、ダウンタイムもないのでとても人気があります。それだけに「たかが注入するだけ」と思っている方が多いかもしれません。施術を行う医師も、意識が低ければチャチャチャチャっと済ませて終わりにしているんじゃないでしょうか。 しかし、どんな技術も奥が深いものです。たかが注射と思ってはいけません。いかに治療満足度を上げるかを考えながら施注を行う身としては、実に色々なことを考えながら施術を行っているのです。

ということで、今回はヒアルロン酸注入の基本的なテクニックについて説明したいと思います。 まず、よく使われる注入方法として、パンクチャーテクニック、スレッドテクニック、ファンテクニックがあります。これらはヒアルロン酸の2次元的な広がりに違いがあります。具体的にどのような違いかと言うと、それぞれ

  • パンクチャーテクニック⇒点状
  • スレッドテクニック⇒糸状、棒状
  • ファンテクニック⇒扇状
にヒアルロン酸を注入していく方法になります。 これらは皮膚に対して針の角度を浅く取り、皮膚面に対して平行に2次元的広がりで注入する方法です。これはこれで現在でもよく使うテクニックですが、最近はもっぱら3次元的な広がりで注入する方法を良く用います。 名前はついていませんが、私はバーティカルスレッドテクニックと呼んでいます。皮膚面に対して針を垂直に刺し、皮下組織の中に柱を立てるようにヒアルロン酸を注入する方法です。先ほどの2次元的なスレッドテクニックは、あえて言えばホリゾンタルスレッドテクニックになりましょうか。

針を垂直に刺すということは、色々な利点があります。1つは痛みが少ないということ。皮膚面に対して針を垂直に刺した方が、針が皮膚を通過する長さが最小となるので、その分痛みは少なくなります。もう1つの利点は内出血が少ないということです。皮膚のすぐ下に皮下血管網があるのですが、これが皮膚面に平行に1つの面で張り巡らされているので、垂直に刺した方が血管にぶつかる確率はぐんと下がります。当院では静脈透視装置を使って皮下血管網を確認しながら針を刺入するので、垂直に刺せばほとんど皮下血管網に針が当たる可能性はかなり低くなります。垂直穿刺法は静脈透視装置とペアで使用すると大きな威力を発揮します。

さらに言えば、ヒアルロン酸注入を垂直に行うバーティカルスレッドテクニックでは、皮下に支柱を作っているようなものですから、盛り上げ効果が大変大きくなります。そのためしっかり盛り上げたいときは私はよく垂直注入を行います。非常に良い方法ですが、残念ながらあまり普及していません。以前当院を訪問していただいた、シンガポールのヒアルロン酸注入術の巨匠、ダニエル・ウー先生もこのテクニックを好んで使っているとのことでした。(ちょっと失礼かもしれませんが)「さすが巨匠!わかってるね!」と思った瞬間でした。