炎症後色素沈着の治療

炎症後色素沈着とはどんなシミ?

肌は強い刺激を受けると、肌の色調が濃くなります。これは刺激により皮膚に炎症が生じ、表皮のメラノサイトが活性化され、通常より多くのメラニンが作られるようになるからです。この状態を炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)と言い、周囲の皮膚よりも茶褐色調が強くなります。炎症後色素沈着だと名前が長く言いにくいので、英略語でPIH(post-inflammatory hyperpigmentation)と呼んだりします。

炎症後色素沈着を引き起こす刺激となるものはたくさんありますが、代表的なものとしては皮膚炎、ニキビ、湿疹などの皮膚疾患、熱傷、外傷、擦過傷、虫刺されなどがあります。また、医療行為の結果としての炎症後色素沈着もあり、Qスイッチレーザー(老人性色素斑やタトゥーに対して)照射後や炭酸ガスレーザー(ホクロやニキビ跡に対して)照射後など各種レーザー治療後やケミカルピーリング後に生じることがあります。

また、一時的にではなく刺激が慢性的に加わって色素沈着が生じることもあり、肘や膝、股の内側、お尻の黒ずみやナイロンタオルによる黒皮症がそれに該当します。

炎症後色素沈着の原因は肌に刺激が加わったことに対する皮膚の正常な反応です。 一旦発生した表皮メラノサイトの活性化は、刺激が収まれば自然に終息するため、炎症後色素沈着は通常は数か月程度で消えていきます。そのため、積極的に何かを行うことはせず、刺激となるものを避け何もせずに様子を見るのが一番良いという考え方もあります。しかし、何もせずに様子を見るといっても、平均的な期間は新陳代謝の良い顔面であっても半年程度、胸や背中、腕など普段紫外線を浴びないような部位や新陳代謝の悪い部位だとで1~2年かかるため、その間多少なりとも効果のある治療を行いたいと思うのは人情でしょう。また、まれに炎症後色素沈着が残ってしまうことがあります(陳旧性色素沈着あるいは組織学的色素失調)。この場合は表皮のメラニンがメラノファージとなって真皮に落ちているため、レーザー治療の適応となります。

私の個人的な経験ですが、左の前腕に2センチ四方の面積に熱湯によるやけどを負ったことがあります。2年くらい経過しても色素沈着が改善しなかったため、ある治療を行いました。結果はとても良いもので、その治療によりきれいさっぱり色素沈着が消え去ってしまいました。その経験からも、ある程度時間が経過した炎症後色素沈着に対して、悪いものでなければ治療を試した方が良いのではないかと思うようになりました。

そうは言っても、炎症後色素沈着後に使えるツールというのは限られています。現在で炎症後色素沈着に有効と思われる治療には以下のものがあります。

炎症後色素沈着の治療方法

炎症後の色素沈着はほとんどのケースで何も治療を行わなくても時間経過で自然に軽快していきますが、積極的に治療を行いたい場合などは以下の治療が選択できます。

ハイドロキノン(外用美白剤)

ハイドロキノン(外用美白剤)

ハイドロキノンにはメラニンの合成を抑制する作用があります。ただ単に自然経過に任せるよりも早く炎症後色素沈着を改善させることができます。高価な薬剤ではないため、何もしないのでは不安という方は使用すると良いでしょう。


 

トレチノイン

トレチノイン

トレチノインは、肌のターンオーバーを促進し、メラニン排泄を促進させる作用があり、炎症後色素沈着にも有効です。



トラネキサム酸内服

トラネキサム酸内服薬

トラネキサム酸は肝斑治療にも使う内服薬で、炎症後色素沈着にも有効です。ただしこれだけですぐに良くなるわけではないので、他の方法と組み合わせて使うのが良いでしょう。


 
 

レーザートーニング

レーザートーニング

レーザートーニングは弱パワーでレーザーを照射するため肌にとって刺激の重ねてしまうことになりません。元々、炎症後色素沈着は肝斑と親戚のようなものです。そのため、主に肝斑治療に用いられるレーザートーニングは炎症後色素沈着にも効果があります。体(肘や膝、股の内側、お尻)の黒ずみなどある程度面積のある部位の治療に向いている方法です。

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Qスイッチレーザー

Qスイッチレーザー

ほとんどの炎症後色素沈着は1年以内に軽快しますが、刺激が収まって1年以上経過していても残っている場合には、メラニンが真皮に落ち込んでいる可能性が高いです。この場合はQスイッチレーザーの適応になります。ただし、充分に時間がたってからの治療でないと、色素脱失を来す可能性があるため、安易な早期のQスイッチレーザー照射は行ってはいけません。

Qスイッチレーザーについて 詳しくはこちら

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