薄いシミの治療

シミでお悩みの方は多いと思いますが、一口にシミと言っても色の濃いものもあれば薄いものもあります。一概に濃いシミだけが気になるというものではありません。特に女性の場合、たとえシミが薄かったとしても悩みの種と成り得ます。「色白は七難隠す」 という言葉の通り、シミ一つない透き通った肌はそれだけでその人を美しく輝かせます。それがわかっているからこそ美意識の高い人はたとえ薄いシミであったとしても許せないでしょう。

では実際に薄いシミを治療しようと思ったとき、どうしたら良いのでしょうか?結論から申し上げますと、色の薄いシミの治療は可能であるが、実は一筋縄ではいかないということです。それはなぜでしょうか?

薄いシミを気にされて治療を希望される方のほとんどは色白の方で、色黒の方はシミだらけであってもあまり気にされない傾向があります。これは元々色白の方は美意識が高い方が多いという点、色黒だとぱっと見シミが目立ちにくい点が理由かと思います。シミとは周囲の皮膚よりもメラニンが増加した状態のことですが、薄いシミは周囲の正常皮膚とのコントラスト(明度の差)が低いです。つまりそれはシミの部分と正常皮膚とのメラニン色素濃度の差が小さいということです。色白の人は正常皮膚のメラニン量は極めて低いので、色白の人の薄いシミに含まれるメラニン量の絶対値も当然低くなっています。

ここでのシミは老人性色素斑に限定して話を進めます。色白の方の薄いシミは、元々メラニン濃度がかなり低い状態です。色黒の人の正常な肌よりメラニン濃度は低いのです。この状態の治療を考えると、現時点で実質的に方法は2つしかありません。

一つはQスイッチレーザーを使った治療、もう一つはトレチノイン(外用薬)を使った治療です。薄いシミに対してフォトフェイシャルなどのIPL(フォト治療)をすすめる施設もあるかもしれませんが、ダウンタイムもない代わりに、毒にも薬にもならないでしょう。IPLの仕組み上、パルス幅が長いためピークパワを上げられず、メラニン濃度の低い薄いシミに反応させることは極めて難しいからです。

以下、Qスイッチレーザーとトレチノインによる治療法について説明します。

Qスイッチレーザー

Qスイッチレーザー

Qスイッチレーザーを使った治療の場合、シミのメラニン濃度が極めて低いので、レーザーの照射出力をかなり高くする必要があります。Qスイッチレーザー照射のようなハイパワーレーザーにつきまとう問題として、炎症後色素沈着(PIH)があります。これはレーザー光線が皮膚を刺激することによって反応性にメラニン濃度が一時的に増す状態です。すりむいたりしてケガをすると、しばらくその部分の皮膚が一時的に茶色くなりますね。それが炎症後色素沈着(あるいは二次性色素沈着)と呼ばれる現象です。一時的と言っても、一旦出ると消失するまでには通常半年~1年くらいかかり、短期間では引きませんので嫌な問題です。そして、薄いシミに対してQスイッチレーザーを照射した場合、この炎症後色素沈着が元のシミより濃くでてしまうケースが稀ではありません。シミを治療しようとしたのに、一時的にせよ元のシミより濃くなる可能性があることを受け入れられるか、ここがこの治療のポイントとなります。経験上、肝斑など他の種類のシミがなく、ベースがかなり色白の場合、一旦は色素沈着が出ても比較的短期間で引き、その後はきれいになる方が多いと思います。逆に、肝斑などのシミがある場合は、色素沈着も強めに出て引くのにも時間を必要とすることが多いです。そのため当院で薄いシミに対してQスイッチレーザーを使用する場合、肝斑なし、色白、色素沈着に対して理解が得られている、を治療条件にしています。

トレチノイン

トレチノイン

トレチノインは皮膚のターンオーバー(入れ替え)を促進する塗り薬です。通常はハイドロキノン(美白剤、メラニンの産生を抑える)と一緒に使用します。トレチノインの作用によりメラニンの外部への排出を促進します。この治療では炎症後色素沈着の可能性は低いものの、一定期間肌の赤みが出たり、落屑(らくせつ)を伴ったりします。落屑とは、皮膚の表層が角質片となってはがれることで、薄皮がポロポロとはがれ落ちていく状態です。肝斑などがあり、Qスイッチレーザーを照射すると色素沈着が強く出そうなケースにおすすめしています。

これ以外に、薄い小さなシミが細かく点在しているようなケースでは、フラクセル3も非常に有効です。フラクセル3は小さな点状の穴を皮膚に無数に開けていくレーザーですが、これによりシミの表面を細かく削ることでシミを除去していきます。